Excelのデータ転記を自動化するには？

データの転記作業に関わる課題

時間がかかる

データの転記を手動で行おうとすると、非常に時間がかかる点が課題となってきます。特にデータがたくさん記入されているシートや複数のファイルなどを扱う場合など、ひとつひとつのデータを正確に書き写すためには、長時間集中する必要があるといえます。

しかし、長時間データの転記作業を続けていると疲れやストレスが溜まってしまいます。そうなると、さらに作業に時間がかかるという悪循環に陥ってしまいます。さらに、貴重なリソースを単純な作業に費やすことになりますので、他の業務が疎かになってしまうリスクもあります。

ヒューマンエラーが発生する可能性がある

データの転記作業は、ヒューマンエラーが発生する可能性もあります。上記でご紹介したとおり、データの転記のような作業者の注意力が散漫になりやすいため、ミスが発生するリスクも高いといえます。

Excelの場合には、異なるセルやシートにデータを入力してしまう、数字を打ち間違ってしまう、データの抜けが発生するなどのミスが考えられます。また、このようなエラーが発生すると修正にも時間と労力が必要となり、さらに業務効率が下がってしまいます。

Excelデータの転記を自動化させる時の注意点

データ構造が変更されると正常に機能しない可能性がある

自動化した後に、Excelのテンプレートやデータ構造が変更された場合には、それまでうまく転記できていたものが、できなくなってしまう可能性があります。セルの位置が変わる、新しい列や行が挿入されるなどした場合には、自動的に検知や修正ができなくなるため、そのまま作業を行おうとするとずれてしまうことになり、エラーが発生する可能性が高くなってしまいます。

定期的にメンテナンスをして、エラーが発生していないかを確認する

上記のように何かしらの変更が発生すると、自動化したとしてもうまく働かなくなってしまうために、定期的なメンテナンスを行っていく必要があるといえるでしょう。実はエラーが発生したりしていないかなどをしっかりと確認していくことにより、普段の業務におけるエラーの発生を防げるでしょう。

Excelのデータ転記を自動化する方法

Excelの関数を使用する

自動で転記する方法のひとつが、Excelの関数を使用する方法です。「VLOOKUP」などの関数を使用しますが、Excelにもともと搭載されている基本機能のひとつなので、専門知識がなくても利用できます。

上記でご紹介した「VLOOKUP関数」を使用すると、別のシートにデータの転記を行えます。特定の縦列の自動転記が簡単に行えるようになりますので、資料などを作成する際にもよく使用される関数といえるでしょう。ただし、VLOOKUP関数は縦列の参照に対応した関数となっていますので、もし横列のデータ参照を行いたい、と考える場合には、「HLOOKUP関数」を使用することになります。

マクロを作成する

VBAと呼ばれるプログラミング言語を用いて、Excelデータを自動転記できるようにする方法もあります。VBAを使用すると、特定の処理を自動化できるため、高度な自動転記を行えるようになります。

例としては、複数ファイルへの一括処理や、特定の条件に基づく転記作業を自動化できます。このように、VBAを使用することによってExcelの自動転記が実現可能です。

RPAツールを活用する

Excelの転記作業を自動化するには、定型の業務を自動化・効率化できる「RPA（Robotic Process Automation）ツール」を活用する方法も考えられます。RPAツールを用いることにより、Excelの転記を行うための操作を自動化できます。

RPAを用いるメリットとしては、プログラミングなどの知識がなかったとしても、直感で定型的な作業をロボットに自動化させられるという点が挙げられます。さらに、ここで挙げているようなExcelでの操作だけではなく、非常に幅広い業務の自動化を行えるため、ビジネスにおいて何か自動化を行いたい時におすすめといえます。

さらに、RPAのプログラムを一度設定することにより、定期的に必要となる転記作業についてもスケジュールに合わせた形で自動実行させられるようになります。

また、一度設定されたルールに基づいて決まった作業を正確に行っていく点も特徴のひとつとなっているため、一貫した作業が可能となることに加え、高い精度での作業も行えます。さらに、業務量が増えた場合でも人員の投入ではなく、複数のPRAを同時に動かすことで業務に対応できるようになります。

RPAツールでExcelデータの転記を自動化させる方法

RPAツールを使用してExcelデータの転記を行うには、下記のような流れで進めていきます。

1. 目的を明らかにする
   転記元・転記先のファイルがどれなのか、また転記するデータの範囲・条件などを明確にします。
2. RPAツールを選定する
   現在さまざまなRPAツールが提供されていますので、その中からニーズに合ったものを選択します。予算や操作性についても考慮することが大切です。
3. RPAをセットアップする
   RPAを導入して初期セットアップを行います。
4. ワークフローの設計を行う
   ツール内でタスクフローやワークフローの設計を実施します。ここでは、転記を行う際にはどのファイルを開き、どのセルのデータをコピーし、どのファイルのどのセルにペーストするか、などを設計していきます。
5. テストを行う
   設計したワークフローをテストし、意図通りに動いているかを確認しましょう。もしエラーが発生した場合や意図しない動きが起きた時には、原因を探して修正を行います。
6. スケジューリングを行う
   転記作業が定期的に発生する場合には、RPAツールのスケジューリング機能を使用します。この機能により、自動で実行するタイミングの設定を行います。
7. 例外処理を設定する
   例えば、対象のファイルが見つからない、Excelに特定のエラーが表示された場合など、例外的な処理が必要な場合についての設定を行います。

このような段階を踏むことにより、Excelの転記作業を自動化できますが、一度設定を行った後も定期的にメンテナンスを行い、エラーが発生していないかなどの確認が大切です。

まとめ

こちらのページでは、Excelの転記作業について考えてきました。もし手作業で行う場合には、作業者に負担がかかることに加えて、ミスが発生する可能性も高いといえます。

そのような場合におすすめなのが、作業を自動化できるRPAツールの導入です。RPAツールを使用した自動化を行うにあたっては、プログラムを行う必要もないことから比較的導入がしやすいといえるでしょう。大幅な業務効率向上を実現できる可能性もありますので、ぜひRPAツールの導入を検討してみてはいかがでしょうか。